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新感覚SNS『noplace』がZ世代を魅了する理由

2024年7月、若者向けの新感覚SNS「noplace」が米国でリリースされ、Z世代を中心にダウンロード数が伸びたことで、一般公開と同時に米国App Storeのランキング1位に浮上し、大きな話題となりました。noplaceが、XやInstagramなど既存のSNSと異なるのは、写真や動画が扱えずテキストのみが投稿可能であるということ。意外な機能性を持つnoplaceは、なぜZ世代ユーザーを惹きつけたのか?今回のブログではその理由について考えてみたいと思います。


Z世代の若者に広がっているSNSアプリとしては、noplaceの他に「BeReal.」があります。BeReal.は、アプリから1日1回通知が届いたら2分以内に写真を撮影してアップするという使い方が特徴的で、「映えるシーン」を共有するInstagramなどと比べて「自分本来のありのまま」を友人たちと共有できるという点がZ世代から評価されています。(BeReal.については過去ブログをご参照ください。https://corp.cfy.jp/?b_mid=4&bid=195


SNSの利用価値に変化が生じているなか、noplaceは若者に新たな利用価値の提案をするかのように、若者が重視しているオーセンティシティーなつながりを目指すSNSとして、テキストのみ投稿可能というアプローチで開発されました。原点回帰とも言える「人とのつながり」や「友達関係」を重視するSNS 1.0的な要素を取り入れており、次々と投稿が表示されるのではなく、ユーザーが画面を閉じた時に初めて投稿が表示されるという仕組みを採用しています。これにより、レコメンドに支配されることなく自分のペースで投稿を楽しむことができます。このように、機能面においては情報過多やアルゴリズムの支配から脱却し、アルゴリズムによる過度な最適化への反動を重視した設計になっているとも言えるでしょう。


物心がついたときからスマホが身近にあり、手元ですべて調べられることが当たり前のZ世代。情報を能動的に取りにいくよりも、受動的に取り込んだものから選び抜く感性を持っており、取捨選択が非常に早く、同時にさまざまな情報を処理する能力が高いと言われています。それは、情報が溢れかえる現代社会において、自分が信用できる情報をいち早く発見するために自然と身に付いていった力なのかもしれません。


「本来のSNSは、人々が話し、お互いにつながり、新しい友達をつくるソーシャルな場であったはず。ところが過去5〜10年の間に、動画や写真といったコンテンツを消費し、多くの『いいね!』や閲覧数をいかに獲得するかというソーシャルメディアへとシフトしてしまった。こうしたメディアで育ってきた若者のために、本当にソーシャルなコミュニケーションの場をいかに提供するか」noplaceはこのようなコンセプトで開発されたそうです。


「周りに影響されず等身大の自分を見せたい」「自分の心地よいコミュニティを持ちたい」「手間をかけずにスムーズにつながっていたい」といった価値観を持つZ世代にとっては、自分の価値観と本当に合う人と繋がり、等身大の自分を表現できることの方が大切。だから、次々と投稿が表示されてアルゴリズムに支配されるSNSに毎日決まって投稿やいいねをするよりも、自然体で投稿できるテキスト限定の新感覚SNS「noplace」の方が合っている。noplaceがZ世代を魅了する理由として、自分なりにはこのように整理しました。


新しいSNS「noplace」の登場は、私たちにSNSの本質について再考する機会を与えてくれました。情報過多やアルゴリズムの支配から脱却し、人と人とのつながりを大切にするという原点回帰の試みは、多くの人々の共感を呼ぶ可能性を秘めています。noplaceが真に革新的なプラットフォームとなり、SNSの未来を変えていくのか、それとも一時的な流行で終わってしまうのか。今後のnoplaceの動向から目が離せません。HIRONORI KAJIKAWA