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スターバックスコーヒーはなぜ『ファン』が増え続けるのか?

1971年、ワシントン州シアトルのパイク・プレイス・マーケット内に1号店をオープンしたスターバックス。店舗は現在も営業しており、世界中からファンやパートナー(従業員)が集う、スターバックスのルーツを知ることのできる場所となっています。日本では1996年に第1号店として「スターバックス コーヒー 銀座松屋通り店」がオープンしました。オープン日は長蛇の行列ができ、初めて注文された一杯は、ダブル トール ラテだったそうです。スターバックスは現在、全世界で38,000店舗、日本でも1,950店舗まで増えて、世界最大のコーヒーショップチェーンとなっています。





なぜ、こんなにもスターバックスは店舗拡大できたのか?たくさんの理由があるのでしょうが、私はファンマーケティングの成功が大きな要因になっていると感じています。私自身、ほぼ毎日通うほどスターバックスの大ファンですが、スターバックスには「ファンを作り続ける文化」が深く根付いていると感じています。ひとりのスターバックスファンとして今回は、自分はスターバックスの何に魅了されているのか?を整理するためのブログにしてみようと思います。



①「行きたいお店」がある


スターバックスには「リージョナル ランドマーク ストア」という、日本の各地域の象徴となる場所に建築デザインされ、地域の文化を世界に発信する店舗が日本全国に28店舗あります。その地域の歴史や伝統工芸、文化、産業の素晴らしさを再発見し、その発見を通じて地域へ絆を感じられるよう、様々なローカルのデザインエレメントを織り込んでいる建築デザインであるため、日本文化好きの私にとっては「行ってみたいお店」になる訳です。リージョナル ランドマーク ストア以外にも、文化遺産や観光名所近くの店舗、デザインやコンセプトが独自性ある店舗など、スターバックスの店舗は画一性ではなく、あえて多様性を重視した店舗であるため、各地に「行ってみたいお店」が存在しています。ということで、奇跡的にひとりで過ごせることになった(笑)夏季休暇を利用してレンタルバイクで九州一周しながら、文化遺産やアミューズメント巡り、そしてスターバックス巡りをしてきました。






「スターバックスコーヒー鹿児島仙巌園店」
旧薩摩藩主島津家ゆかりの登録有形文化財で薩摩の歴史を感じる






「スターバックスコーヒー門司港駅店」
大正時代の待合室の雰囲気に鉄道や製鉄など歴史と地域性を取り入れた空間でコーヒー体験






「スターバックスコーヒー太宰府天満宮表参道店」
自然素材による伝統と現代の融合





②スターバックス® リワード


利用者は1500万人に達していると言われるスマートフォン用アプリ「スターバックス® リワード」の存在が、スターバックスファンを増やし続けているのは間違えないでしょう。「広がり(ユーザー数)」「効率(タスク完了までの速度)」「深さ(エンゲージメントレベル)」「頻度(再訪頻度)」において、スターバックスのアプリは全方位的に機能しており、顧客接点を目的としたファンマーケティングのツールとして多くのファンを魅了しています。私がスターバックスのファンになったのも、このアプリの存在が大きいかもしれません。


③接客は、こんにちはから


スターバックスの接客はどこの店舗に行っても店員さんの対応がにこやかで気持ちよく、ちょっとした心遣いが嬉しいという体験ができます。スターバックスに行くとまず、「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」という挨拶が飛んできます。これによっていつも自然と会話が始まり楽しい気持ちになります。また、私は着物でスターバックスに行く機会が多いのですが、必ずと言って良いほど「素敵なお着物ですね!」と笑顔で言われます。これらは全てマニュアルなんだろうと思っていましたが、スターバックスには、なんとマニュアルが一切ないというのです。パートナー(スターバックスでは全てのスタッフをパートナーと呼びます)がお客様に対して能動的に会話をしています。マニュアルの代わりに長時間の教育プログラムを利用しているそうなのですが、この接客文化は本当にすごいことだと思います。


スターバックスコーヒーはなぜファンが増え続けるのか?


今回は、私の経験からスターバックスのファンマーケティングについて考えてみました。私がスターバックスのファンである理由はたくさんありますが、整理してみると上記の3つが大きいかもしれません。「好きになる理由」は人それぞれポイントが異なると思いますが、スターバックスはいろいろな領域においてブランディングがされているので、好きな理由もたくさん存在もしていることでしょう。それもまた面白いなと思っています。

スターバックスを見ていると、「変えるべきものとブラさないものを見極める文化」と「全ての人を尊重する多様性のある考え方」が次々とファンを生み続ける理由なのだろうと感じます。主体はいつもお客様、お客様がスターバックスで豊かな時間を過ごすためにはどうしたら良いだろうか?ということを全てのパートナーが考えて行動する文化が根付いていること、これこそがスターバックスにファンが増え続けている理由だろうと思います。創造性を絶やさずイノベーションを起こし続けることで、新たなつながりを築いていく。これからもサードプレイスとしてスターバックスライフを楽しみたいと思います。HIRONORI KAJIKAWA