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『進化していくX』現実にマッチする未来戦略

『Everything App』に向けて加速度的に進化するX


6月11日、東京ビッグサイトで「DX総合EXPO/ビジネスイノベーション Japan」が開催されました。当日は、特別講師としてX(Twitter Japan)代表取締役 松山歩 氏がセミナー登壇し、『進化していくX - Everything Appに向けて加速度的に進化するXと獲得型広告の最新状況』というタイトルで、Xの未来構想について講話されました。私もそのセミナーを受講してきましたので、今回はそのセミナーの要点と、今後のXの活用についてまとめてみたいと思います。


まず大まかに、今後のXはどうなるのか?というと「Everything App」を目指していくということになります。Everything Appとは、スーパーアプリとも呼ばれており、支払いサービスや、インスタント・メッセージング・サービスなどの複数のサービスを提供できるモバイルアプリケーション、又はWebアプリケーションであり、事実上、個人生活および商業生活の多くの側面を包含する、包括的な自己完結型の商取引および通信オンラインプラットフォームのことをいいます。私たちの身近なEverything Appとしては「LINE」が有名ですが、X社の最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏はTwitter社を買収した当初からTwitter(現、X)をEverything Appにすると発表していました。今回、松山歩 氏のセミナーでは、Everything Appを目指すための新サービスが示されましたので、その内容を解説したいと思います。発表された新サービスは主に4つです。


① AIを活用した検索
② X利用者間の決済機能
③ プレミアムコンテンツ(長尺動画)
④ 獲得広告のパフォーマンス向上




まず、①AIを活用した検索とはどういうことなのか見てみましょう。2024年5月からXの有料プレミアムプランでGrok(対話型AI/AIチャットモデル)が実装されました。ChatGPTとの違いとしては、インターネット上(Xポスト上)の最新情報にアクセスできるという特徴があり、Xのリアルタイム情報を利用することで、他のLLM(大規模言語モデル)よりも最新の情報を提供できるという点になります。現時点では、翻訳やタスク処理~マルチタスク実行等、ChatGPTよりも精度は落ちますが、Xポストからの最新情報にアクセスした対話型AI/AIチャットモデルとして、ChatGPTよりも利用価値のあるサービスにしていくと説明していました。


②X利用者間の決済機能は、Xのアカウント同士であれば通貨のやりとりが出来るようになるという新サービスです。利用シーンとしては、例えば「推しを支援する(推し活)」などを想定しているようで、インフルエンサーの主戦場としてXの利用を定着させ、応援をきっかけとしたコミュニケーションを増やしていく狙いがあると説明していました。Web上のショップや個人から物やサービスを購入することも出来るようになるので、「X利用者間の決済機能」は新しいXの利用価値になっていくと考えられます。


③プレミアムコンテンツ(長尺動画)は、4時間程度の動画配信が出来るようになるという新サービスです。X社の未来構想としては、「Xで全世界にTVと同じタイミングで全話リアルタイム配信」といった、どの動画配信プラットフォームもやったことのない動画配信を実現させたいという想いがあるようです。2024年1月、米トップユーチューバーのミスタービーストがXに初めて投稿した長尺動画の収益が、26万3655ドル(約3910万円)だったというニュースが流れました。このニュースによって「Xは稼げる」というイメージが着いたので、Xを動画配信の主戦場にする動画配信プレイヤーが生まれてくることにもなるでしょう。動画専用ページの「ビデオタブ」や、広告枠も展開予定の「X TVアプリ」など、Xはこれから動画配信に力を入れていくので今後の動きには注目です。


④ 獲得広告のパフォーマンス向上は、AIを活用して広告施策を決定し、パフォーマンスを向上させるというサービスです。例えば、「1000件以上、いいねされたスイーツのポストは?」や「一番効果があったキャンペーン動画は?」などを検索し、そのユーザーデータを基にしてターゲティングするといったような、AIを活用した獲得広告の運用が可能になります。強みとしては、X上の昨日・今日のデータも活用してAI分析できるという点になります。


Web広告と言えばGoogleやYahoo!というこれまでの常識から時代が大きく変わっていくことになるかもしれません。松山歩 氏は、これら4つの新しいサービスを1年で実現し、Everything Appに向けて加速度的に進化させていくと説明していました。何かと話題の絶えないX、今後の動きに注目しつつ、Xのビジネス活用についても進化させていく必要があるかもしれませんね。HIRONORI KAJIKAWA