未来人材で日本の産業構造をアップデートする
2026-02-27
2月26日、厚生労働省が公表した人口動態統計速報(2025年分)では、2025年の出生数(累計、速報)は705,809人で前年比2.1%減、10年連続で減少し、統計開始以来の歴史的低水準が続いていることが示されています。 供給が細り続ける社会で、産業を支える力は「採用の巧拙」だけでは埋まりません。これから必要なのは、一人ひとりが力を発揮できるように「育ち」の段階から機会を増やし、活躍できる状態で社会につなぐこと、つまり未来人材を取りこぼさない設計へ産業構造そのものを組み替えることです。
実は、その出発点は未就学施設や学校、地域の支援体制にあります。文部科学省の資料では、公立小・中学校の通常学級に在籍する児童生徒のうち8.8%が学習面または行動面で著しい困難があり、特別の教育的支援が必要と推定される一方で、通級による指導を受けている子どもの割合が一定程度にとどまるなど、個別の配慮・支援を受けられていない子どもが多数存在すると整理されています。 この数字は教育の話であると同時に、未来の労働市場の話でもあります。支援が届かないまま「できない経験」が積み重なると、自己肯定感や学びの土台が傷つき、将来の進路・就業・定着の機会が狭まるリスクが高まります。
逆に言えば、未就学期など早い段階で児童福祉施設などにつながり、発達支援や環境調整、家族支援を受けられることで、発育や適応が伸び、学び直しの余地が広がり、結果として就業の可能性そのものが上がっていきます。これは現場が日々目にしている現実です。

人口が縮む時代において、こうした子どもたちは「支援の対象」である前に、社会全体から見ればかけがえのない貴重な未来人材であり、産業構造を支える土台そのものです。だからこそ私たちは、児童福祉施設を運営する目的を福祉サービスの提供にとどめず、「未来人材の育成」として捉えています。
私たちの存在価値(Purpose)は「子どもたちの可能性を最大化する」です。すべての子どもの可能性を信じ、それを育み引き出すために存在し、どんな背景や特性を持つ子どもにも自分らしく未来へ羽ばたく力を届けること。これは情緒的なスローガンではなく、産業の未来を守るための最も現実的な投資だと考えています。
そして私たちがめざす未来(Vision)は「多様性が、拓く社会へ」です。一人ひとりの違いを個性として尊重し、子ども・家族・地域がつながり合い、誰もが自分らしく力を発揮し、それぞれの特長を力に変えて、つながり合える社会をつくること、という考えを大切にしています。
産業構造のアップデートとは、結局のところ「人が鍵」であり、現場で働く人、教える人、支える人、改善し続ける人の層を厚くする営みです。人手不足に対して「人がいないから仕方ない」と諦めるのではなく、子どもの頃から丁寧に育ちを支え、個別の困難に合わせて学びと経験の道をひらき、地域と産業が受け止められる形で社会につなぐ。その積み重ねが、就業率を押し上げ、働き手不足、指導者不足、技術者不足、担い手不足の連鎖を断ち切り、日本の産業を「縮小均衡」から「再設計」へ導きます。
未来人材は、どこか遠い世界のエリートの話ではなく、いま目の前にいる子どもたち一人ひとりの中にある可能性の総体であり、その可能性を最大化できる国こそが、次の時代に強い産業を持つ国になる。私たちは、児童福祉の現場からその土台をつくり、未来人材で日本の産業構造をアップデートしていきます。 HIRONORI KAJIKAWA


