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最強組織「共創分権経営モデル」を徹底解説

2026-04-07
私がこれまで経営に向き合う中で試行錯誤を重ね、独自に完成させてきた組織モデルが「共創分権経営モデル」です。今回は、このモデルがなぜ強いのか、その構造的な理由と実際に組織として機能させるためのポイントや注意点について解説します。



私たちはこれまで、PMVV(Purpose・Mission・Vision・Value)をいかに組織に浸透させるかを考え続けてきました。多くの企業では、経営層が言語化した理念を現場に「伝える」ことに力を使います。しかし、そのやり方だけでは本当の意味で理念が機能することはありません。なぜなら、人は「理解したこと」ではなく、「自分ごと化したこと」でしか動かないからです。だからこそ私たちは、理念はトップダウンで配布するものではなく、現場と共に再解釈し、共に創り上げるものだと捉えています。そしてこの思想を組織の型として体系化したのが「共創分権型組織」です。このモデルは、分権(構造)・共創(文化)・論語と算盤(理念と利益の両輪)という3つの要素が噛み合うことで初めて機能する、実践的な組織設計です。



分権(構造)


まず土台となるのが、分権された意思決定構造です。意思決定は各事業の責任者に委ねられ、私はその方向性がホールディングスの理念と一致しているかを判断する立場にあります。つまり、現場の経営は現場に任せる構造です。この構造により、意思決定のスピードは飛躍的に高まります。ボトルネックがトップに集中せず、現場で即断できる状態が生まれる。そして同時に「自分で決める」という責任が事業責任者の思考と覚悟を引き上げていきます。分権は単なる権限移譲ではなく、組織の質そのものを高める設計です。



共創(文化)


次に重要なのが、理念を「共に創る」文化です。理念は、上から与えられた瞬間に「他人のもの」になります。しかし、自分たちで考え、言葉にし、磨き上げた理念は「自分たちのもの」になります。この違いは決定的です。PMVVを現場で共創することで、理念は単なる言葉ではなく体験へと変わる。「理解」ではなく「腹落ち」することで、判断基準が揃い、組織はブレなくなります。共創とは、単に参加させることではなく「意味を共につくること」です。この文化があることで組織は自走し始めます。



論語と算盤(理念と利益の両輪)


そして、このモデルを成立させるもう一つの重要な要素が「論語と算盤」の考え方です。どれほど優れた理念を掲げていても、事業として成立しなければ継続することはできません。一方で、会社経営の目的は単なる利益追求ではありません。利益は企業活動を支える不可欠な要素であり、人間にとっての血液のような存在です。しかし、人間が生きる目的が血液そのものではないように、企業にとっても利益は目的ではなく、あくまで手段にすぎません。企業の本質的な目的は、ビジョンの実現や社会への価値提供にあります。その実現のためにこそ、利益が必要とされます。逆に、利益のみを追い求める経営では、組織は持続的に成長することができません。したがって、経営において重要なのは「理念」と「利益」を対立させるのではなく、両立させることです。この二つを同時に成立させることこそが、経営の本質といえます。本モデルでは、PMVVという理念が意思決定の軸となりながらも、それが事業成果に結びついているかを常に問い続けます。すなわち、「正しいことをやる」と「勝てることをやる」を分けずに統合する設計となっています。この理念と利益の両輪が揃っているからこそ、分権された現場においても意思決定がぶれることなく、組織全体としての推進力を維持することが可能になります。そして、この考え方をメンバー全員で共有することが、持続的な成長の鍵となります。



なぜこの組織は強いのか


このモデルの強さは5つに集約されます。

① 意思決定が速い
 現場で即断できるため、組織全体のスピードが上がる。
② 理念が機能する
 共創によって理念が腹落ちし、判断基準として使われる。
③ 自走する
 一人ひとりが考え、意思決定する組織になる。
④ 利益を作れる
 分権によって現場の判断精度とスピードが上がり、機会損失が減る。
 同時に、理念を軸にした意思決定が無駄な投資やブレを防ぎ、
 結果として収益性の高い事業運営が可能になる。
⑤ 持続的に成長する
 理念と利益が両立されることで、短期にも長期にも強い組織になる。



このモデルの本質は「分権」にある


ここまで見てきた通り、このモデルの中核は分権にあります。しかし、分権は単純に権限を渡せば機能するものではありません。成立には明確な前提条件があります。それが、PMVVが形として存在していること、そして事業責任者一人ひとりがそのPMVVを背負っている状態であることです。理念が曖昧なままでは、判断基準が揃わず、分権は機能しません。また、事業責任者が理念を自分ごととして引き受けていなければ、意思決定は弱くなります。つまり、「理念が明確であり、それを担う人材がいること」。この2つが揃って初めて分権は機能します。だからこそ最初に取り組むべきは分権そのものではなく、この前提条件を整えることです。ここをつくりにいくことこそが「共創分権経営モデル」を成功させる最大のポイントです。



このモデルが機能しなくなる典型パターン


一方で、このモデルは運用を誤ると簡単に機能しなくなります。

① 事業責任者が弱い
 判断できない、覚悟がない状態では、分権は機能せず組織は停止する。
② PMVVが抽象すぎる
 かっこいいだけの理念は現場で使われず、解釈がバラバラになり混乱を招く。
③ 理念と利益が分断される
 どちらかに偏ると組織は短期志向か、もしくは実行力のない理想論に陥る。
④ フラットな対話が失われる
 立場や上下が強くなりすぎると共創は機能せず、分権も形骸化する。
⑤ 社長が手放せない
 最終的にトップが意思決定を握り続けると分権は成立せず、現場は「考えない組織」に戻る。



結論


強い組織とは、指示で動く組織ではありません。一人ひとりが理念を基準に意思決定し、自ら動く「自走する組織」です。このモデルはハマればトップクラスに強い組織になります。しかし同時に、非常に繊細な構造でもあります。だからこそ、形だけを真似してもうまくいきません。分権という構造だけを取り入れても、共創という文化がなければ現場は動かない。共創を掲げても、論語と算盤、つまり理念と利益の両輪が揃っていなければ理想論で終わる。どれか一つだけでは足りず、分権(構造)・共創(文化)・論語と算盤(理念と利益の両輪)を一体で実現していくことが重要です。そして、それは短期間で完成するものでもありません。時間をかけて思想を磨き、人を育て、対話を重ね、少しずつ組織の土台として定着させていく必要があります。だからこそ重要なのは「知ること」ではなく「育てること」です。このモデルは、導入して終わりではなく、時間をかけて育てることでやがて組織の中に根づき自然と自走し始めます。共創分権経営モデルとは、制度の話ではありません。組織の思想そのものです。これが共創分権経営モデルの強さです。HIRONORI KAJIKAWA











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