ウォルマートはなぜ仕組みではなく、文化で勝てたのか
2026-05-15
本質は、現場レベルで日常的に、
「どうすればもっと低価格を実現できるか?」
「どうすればお客様にとって便利になるか?」
「どうすればもっと良いサービスになるか?」
という問いが自然発生していることです。
つまり、低価格戦略が会社の方針ではなく、現場の思考習慣になっている。例えば、物流コストをどう削減するか、在庫をどう最適化するか、陳列をどう工夫するか。こうした改善活動が本部主導ではなく、現場の当たり前として積み重なっていく。しかもそれが「会社のため」ではなく「お客様のため」という思想と結びついている。これがウォルマートの強さだと思います。創業者の Sam Walton も、現場を徹底的に歩き、社員と対話し、小さな改善を積み上げ続けました。その結果、現場で考える文化が組織全体に浸透していったのだと思います。
一方で、日本にも流通革命を起こした偉大な企業、 ダイエーがありました。ただ、ダイエーはウォルマートと同じ方向を目指しながらも、結果として同じ形にはなりませんでした。もちろん時代背景や金融環境の違いもあります。しかし、経営という観点で見ると、私は「低価格を文化として浸透できたかどうか」の差が大きかったのではないかと感じています。ダイエーも低価格を掲げていました。しかし、それが「なぜ低価格を実現するのか」「お客様にとってどういう価値があるのか」という思想レベルまで現場の日常行動に落とし込まれていたかというと、必ずしもそうではなかったのかもしれません。低価格を「戦略」として実行するのと、低価格を「文化」として根付かせるのは全く別物です。戦略だけだと価格競争が激化した時に苦しくなる。でも文化になっている企業は、現場から改善が生まれ続ける。だから強い。
仕組みは真似できます。DXも導入できます。マニュアルもコピーできます。でも、文化だけは真似できません。だからこそ、企業にとって最後の競争優位性はカルチャーなのだと思います。
私たちも、いつか「私たちの強みは企業カルチャーです」と自然に言える組織を目指しています。そのために大切にしている取り組みのひとつが、「パーパスカフェ」です。私たちは、メンバーと一緒にパーパスを語り合い、その意味を深掘りする「パーパスカフェ」を行っています。私が淹れたコーヒーを片手に、ブランドブックを開きながら、理念や価値観について自然体で対話する時間です。
毎月順番で部署メンバーごとに実施していますが、今回は創業期の話を中心に、なぜこの事業にコミットしているのか、どんな想いで仕事に向き合ってきたのかを振り返りました。理念が生まれた背景や、そこに込めた想いも共有できたかなと思います。理念というのは綺麗な言葉を掲げるだけでは意味がありません。大事なのは、その理念が「誰かが作った文章」ではなく、「自分たちの言葉」として組織の中に息づいていることです。だから私たちは、理念をただ伝えるのではなく、笑い合いながら、共感しながら、一緒に育てていくことを大切にしています。
文化は、一日では生まれません。日々の対話。小さな改善。小さな共感。その積み重ねが、やがて企業の空気感になり、組織の強さになっていく。仕組みを超えたところにある、文化の強さ。そこにこそ、企業の本当の未来があるのだと考えています。HIRONORI KAJIKAWA




