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シンガポール国家戦略『スマートネイション』をリアル体験

『スマートネイション』とは


シンガポールは、2014年より国を挙げて「スマートネイション(スマートな国家)」のイニシアチブに取り組んでいます。スマートネイションとは、デジタル技術とデータを活用して国全体をスマートシティ化し「より良い暮らし、より多くの機会、より強固なコミュニティ」を実現しようとする国家構想です。シンガポールでは、特に重要とする分野を5つ挙げてスマートネイションの実現に注力しています。その5つの分野とは、都市生活(Urban Living)、交通(Transport)、健康(Health)、電子政府(Digital Government Services)、企業・ビジネス支援(Startups And Businesses)であります。今回、5つの分野のうち旅行者でも実感できる「都市生活」と「交通」の分野におけるスマートネイションをリアル体験してみることにしました。果たしてシンガポールは本当にスマートシティなのか??いざ、体験!









交通(Transport)をリアル体験


さて、まずは「チャンギ空港」にて交通分野のスマートネイションを実体験してみることに。シンガポールへはチャンギ空港から入国しますが、チャンギ空港は世界的にも重要なハブ空港でターミナルも多く、設備も非常に充実しています。ターミナルは1、2、3のほか、2017年10月にオープンしたターミナル4を合わせて4つのターミナルがあります。そのなかでもターミナル3は近未来的な建築が特徴で、視覚的にスマートさを感じてしまいます。









シンガポール政府は、紙製の入国カードを2020年3月に廃止し、SG電子入国カード(SG Arrival Card)を導入してペーパーレス化による環境保護に取り組んでいます。そのSG電子入国カード(SG Arrival Card)は、App StoreやGoogle Playで入手可能な「MyICA」アプリによって登録することが可能です。そしてこの入国カードシステムは、パスポートと電子的にリンクされており、入国審査を驚くほど簡単に済ませることができます。ということで、チャンギ空港(入国審査)は文句なしでスマートでした。









次は、MRT(電車・地下鉄)に乗って交通分野のスマートネイションを実体験してみることに。シンガポールではメジャーな交通手段であるMRT(電車・地下鉄)は料金も安いため旅費を抑えて旅行を楽しみたい時はマスト手段です。路線は6路線あり、分かりやすくそれぞれ色分けされています。









乗車方法は3つ。
①スタンダートチケット(6回分使えるカード型の切符)※30日間有効
②EZ-Linkカード(プリペイド式交通カード)
③シンガポール・ツーリスト・パス(観光客向けMRT&バスの乗り放題パス)
移動が多くシンガポールに数日(1〜3日)しか滞在しない人はシンガポールツーリストパス。移動が少なくシンガポールに4日以上滞在する人はEz-linkカード(日本のSuicaようなもの)が向いているそうです。









スタンダートチケットはバスが利用不可。シンガポール・ツーリスト・パスはデポジットが高く返金不可(S$10)。EZ-Linkカードはデポジットが安く(S$5)、バスも利用可ということで、私はEZ-Linkカードを選びました。









EZ-Linkカードは有人窓口かコンビニ(セブンイレブン)で購入できます。チャージ方法は3つ。
①アプリでチャージする(Flash Pay)
②セブンイレブンのカウンターでチャージする
③MRTの券売機でチャージする(これが1番無難)









券売機でのチャージが面倒という人は、アプリを連携しておくことでいつでもチャージをすることができます。









券売機でチャージする場合はこちらの機械で。クレジットカードしか使えない機械と、現金が使えるカードがあるので用途に合わせて選びます。チャージはS$10づつで良いでしょう。(私はS$20チャージして使い切れませんでした)









チャージが完了したら改札口に向かいます。あとはピッとやるだけ。日本と同じですね。









はい、注目!良く見ると「VISA」と「Mastercard」のマークが見えますね。そう!クレジットカードです。シンガポールの電車はクレジットカードでそのまま乗車することもできちゃうんです。これは便利ですねー。EZ-Linkカードなどを作るのがNGな人は、コンタクトレス(非接触)決済機能付きクレジットカードでどうぞ。ただし、シンガポール国内発行のクレカじゃないと少し手数料が掛かるので注意が必要です。









ホームはこんな感じ。路線が色分けされてるので分かりやすいです。









車内はこんな感じ。日本の電車よりも少し広いと思います。あと真ん中の棒がオシャレ。









行先ボードは全て電子化されています。そして、今どこを走っているかが分かるようにもなっています。
ということで、シンガポールの電車はとても便利でした。もしかしたら日本より便利かもと思うほど。ん~、空港に引き続き、電車も完全にスマートといえます。









お次はバスに乗って交通分野のスマートネイションを実体験してみることに。シンガポールのバスはほとんどが2階建てバスになっています。チャンギ空港ターミナル3の建築と同じく、視覚的にスマートさを感じてしまいます。









電車は路線が色分けされていましたが、バスは「番号」で行先ルートが分かるようになっています。主要な場所はだいたいカバーされていて、数分間隔で巡回しています。









案内板はほとんどの場所がデジタルサイネージ化されています。運営側も管理がしやすいでしょうね。









さて、いよいよ乗車。乗車は前から、降車は後ろから。









乗車するとすぐにカードリーダーがあるので、カードをピッとかざすだけでOKです。あとは空いてる席に座りましょう。









せっかくなので2階にも行ってみました。眺めが良くて楽しいです。









せっかくなので写真も撮りました笑。
バスの乗車体験は日本とあまり変わりはありませんが、本数とルートがかなり多いです。あと、SymplyGo(クレジットカードで乗車決済)ができるという点も便利です。ん~、空港と電車に引き続き、バスも完全にスマートといえますね。









そしていよいよ、シンガポールといえばこれ。そう!Grab(グラブ)。Grabはマレーシア生まれ、シンガポール育ちの配車アプリサービスです。シンガポールでは、米系配車サービスの「UBER」が2018年に撤退し、ほぼ一強状態で関連ビジネスにもどんどん展開しています。









Grabを利用するには、アプリをダウンロードしてクレジットカードを連携する必要がありますが、登録自体は簡単で5分もあれば完了します。









利用する時はアプリを開いて、まずは行先を入力します。すると、近くにいる車両が表示されます。JustGrab(スタンダード車両)かGrabCar Premium(プレミアム車両)が選択できますが、JustGrab(スタンダード車両)で十分だと思います。車両も多いので迎車も早い。









ドライバーさんとマッチングすると、迎えに来てくれる車種とドライバーの情報がスマホに表示されます。そして、到着時間や今どこを走行しているかを地図に表示して教えてくれます。車両番号も表示されるので待っている時の安心感が抜群です。もしも、上手く車両が見つからなかったらドライバーさんが電話を掛けてきてくれて、場所のやりとりをしてくれます。









ドライバーさんが迎えに来たら乗車します。アプリで利用登録する時に行先を入力するので乗車時に伝える必要はありません。さらに、登録してあるクレジットカードで自動的に支払いするので降車時の支払いも必要なし。まるで会話がなくても分かりあう夫婦のようです笑。Grabは米ナスダック市場に上場する企業であり、ドライバー管理も徹底されているので、とても安心して利用することができると思います。いや~、Grabはめちゃくちゃ便利!空港と電車とバスに引き続き、タクシーも完全にスマートといえますね。









ということで、シンガポールの交通分野におけるスマートネイションを実体験してみた結果、「完全にスマートだった」というのが感想です。むしろ日本よりも進んでいて、世界的なスマートシティであることが実体験から分かりました。もちろんGoogleマップが利用できる国なので、Googleマップさえあれば最適な交通手段が分かりますし、利用方法も生活者にとって便利さが追求されていて、本当によくできているシステムだなーと思います。いや~シンガポール凄いです、はい。









都市生活(Urban Living)をリアル体験


今度は、都市生活の分野におけるスマートネイションを実体験してみることにしました。シンガポールの都市生活は本当に便利でスマートなのか??いざ、体験!









シンガポールは、ホテルや観光施設、カフェやショッピングセンター、MRTの駅や空港など、公共の場において無料でインターネットに接続することができます。観光大国として旅行者が快適に過ごせるように、またシンガポール国民が便利に暮らせるように、無料Wi-Fiを政府が整備しています。









そしてフード文化でも「スマート」が溢れていました。こちらはご存知、マクドナルド。









シンガポールのマクドナルドは、ほとんどの店舗でタッチパネル注文が採用されています。もちろんアプリ注文も普及しているので、使い分ける感じなのでしょう。日本でもタッチパネル注文は徐々に採用されつつありますが、意外とまだ少ないですよね。









こちらはシンガポールを代表するソウルフードのひとつ肉骨茶(バクテー)の人気店、Song Fa Bak Kut Teh(ソンファ・バクテー)です。10:30オープンなのですが、既に行列が出来ていました。









並んでいると整理券が渡されます。その整理券に記載されてるQRコードからアプリへアクセスして注文します。めちゃくちゃ悩むんですが、メニューが写真付きなので、どんな料理か分からないということはないですね。ナイスUI!(ぴったり10:30に入店)









店内に入ると好きな席に座れます。そして料理が運ばれてくる。支払いはアプリではなくテーブル会計というシステム。これ、スタッフさんはどうやって注文者とテーブルを結びつけているのか?という疑問が生じたのですが謎は解けませんでした。(誰か教えてください)









お待ちかねの肉骨茶(バクテー)登場!いや~これ、ホント美味しいです。日本にもあるのかな?スープが飲み放題というのもナイスです。









こちらは夕食で訪れたLong Beach Seafood Restaurant。アミューズメントジャパン田中常務の現地ご友人に連れてきていただきました(田中常務は人脈広くて尊敬します)。この店は1946年から続いている老舗で、国外にも多くのファンがいるそうです。









こちらはLong Beach Seafood Restaurantの看板メニューでもあるチリ・クラブ。濃厚なチリソースが絡んでとても美味しい。









こちらはブラックペッパークラブ。Long Beach Seafood Restaurantが発祥なんだそうです。ご馳走様でした。









そしてこちらはホーカー。ホーカーとは、屋台(ストール)がたくさん集まったフードコートのようなもので、シンガポール人の日常を支える大切な存在です。政府が所有・管理・運営しており、清潔で衛生的な環境によってさまざまな人が食事を楽しめるようにと政府の手でしっかりと整備されています。こちらのラウパサは、シンガポールの金融街の中心部にある最も人気のあるホーカーのひとつ。年中無休で24H営業というから驚きです。便利ですねー









ラウパサは、とにかくめちゃくちゃ賑わっていました。たくさんの人が好きなものを好きなだけ食べて楽しんでいて熱気が凄かったです。コロナはもうだいぶ昔のこと、今は未来に向けて新しいことを始めてるよ、という声が聞こえてきそうな感じでした。この場にいるだけで元気になれた気がします。






シンガポール国家戦略『スマートネイション』をリアル体験するために、今回は「交通」と「都市生活」の分野を実体験してみました。結論として、シンガポールは間違いなくスマートシティでした(疑ってたのか笑)。国土が狭く資源も少ないシンガポールは、観光大国として整備することで経済発展を遂げています。金融センターやハブ空港など世界的機能を果たしていることで、多様な人材が集まり人口も増加傾向にあります。早くからアフターコロナへ政策転換し、G2E開催など新たなチャンスをものにしています。独自の食文化を誇りに人々が豊かに暮らしています。今回は交通と都市生活の分野のみ、スマートネイションの実体験をしましたが、その他分野の健康(Health)、電子政府(Digital Government Services)、企業・ビジネス支援(Startups And Businesses)もきっとスマートなシステムで成り立っているのだろうと思います。シンガポール国家戦略『スマートネイション』、これからまだまだシンガポールを大きくする国家戦略であることは間違えなさそうですね。定点観測で足を運ばなければ!HIRONORI KAJIKAWA








あっ、あと、シンガポールとは無関係ですが、私6月6日が誕生日でして妻がブーケを作ってくれました。いつもありがとうございます。(決して、ブーケの写真載せとけよと脅されたわけではありません)