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成長の原動力は『人事戦略』

2022-07-01
私は経営者という職務上、『組織』や『人事』に関する知見を広めるために企業や団体、歴史上の組織戦略や人事戦略に関心を持つことが多いのですが、なかでも、機能的で学びの多い人事戦略であると感じているものがあります。それは、Amazonの人事戦略であります。Amazonは毎年20%の成長を求められている会社ですが、この成長を可能にしているのは『人事戦略』にあるといいます。Amazonには、人事戦略の基盤となっている行動理念『OLP(Our Leadership Principles)』というものがあります。Amazonは働く全ての人に対して『リーダーシップ』を求めます。Amazonの行動理念である『OLP』というのは14箇条から成るリーダーシップ理念であり、全社員がリーダーシップを持つべきであるという考えのもと、経営がおこなわれています。OLPは理念として掲げられているだけではなく、定性的評価制度とも連動しているため、OLPの行動結果が良ければ評価が上がり、昇格も出来る。逆にOLPの行動結果が悪ければ評価は下がり、降格することもある。そのため、全社員がOLPを徹底して仕事をしているのだといいます。



AmazonのOLP(リーダーシップ理念)


1.Customer Obsession:顧客へのこだわり
2.Ownership:オーナーシップ
3.Invest and Simplify:創造と単純化
4.Are Right,A Lot:多くの場合正しい
5.Learn and Be Curious:学び、そして興味を持つ
6.Hire and Develop the Best:ベストな人材を確保して育てる
7.Insist on the Highest Standards:常に高い目標を掲げる
8.Think Big:広い視野で考える
9.Bias for Action:とにかく行動する
10.Frugality:質素倹約
11.Earn Trust:人々から信頼を得る
12.Dive Deep:より深く考える
13.Have Backbone,Disagree and Commit:意見を持ち、議論を交わし、納得したら力を注ぐ
14.Deliver Results:結果を出す



Amazonは新入社員からCEOまで全社員がこのOLPに基づいて仕事をし、評価を受けています。もちろん定量的な目標設定もあるので、定性と定量の2軸での評価制度が完備されており、One on Oneミーティング、360度評価、評価会議などで人材育成をしています。この人事戦略の徹底ぶりが毎年20%の成長を遂げるAmazonの強みなのだといいます。



Amazonの人事戦略から、人事戦略というのは『理念を掲げること』や『ツールを導入すること』ではなく『働く人のモチベーションになっているかが大切である』ということが分かります。点ではなく面のように、全てが有機的につながることでAmazonのように『成長の原動力は人事戦略』であるといえるのかもしれません。Amazonの創業経営者ジェフ・ベゾフは2021年7月にCEOを退任しましたが、その後も成長を続け、株価も下落することがないのは人事戦略が文化として根付いているからなのかもしれませんね。HIRONORI KAJIKAWA