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顧客体験とMOTの関係性

顧客体験の最適化


マーケティングにおいて、顧客体験の向上という目的を果たすために「顧客視点」や「顧客分析」など顧客を中心とした考え方が主流となっています。しかし、顧客体験のマーケティングというと、顧客の行動をデジタルで分析したものをマーケティングに活かすと考えがちですが、それだけではデジタルの機能を使用しただけに過ぎず、顧客体験を最適化できているとはいえません。

購買行動分析やPOS集計分析などの行動調査データ、あるいはSNSやユーザーレヴューなどの満足度調査データ、それらデータとは、基本的に「結果の記述」であると認識する必要があります。顧客体験の最適化をするためには、顧客体験を具体的に捉えて、施策として実行する方法論を確立しなければなりません。



MOT(真実の瞬間)


では、マーケターは顧客体験をどう捉えれば良いのでしょうか。
売り場に足を運ぶ、購買データを分析する、SNSの反応を確認する、アンケート結果を読む、顧客データはいろいろなものが存在します。顧客を知るだけであれば、どのデータを見てもそれなりの収穫はあると思います。しかし、理解の先にどう成果につなげていくかまでを見通すのであれば、見るべきところは限られてきます。それは、一人の生活者が「顧客」に変わるプロセスに注目することが挙げられます。商品やサービスが選ばれる瞬間をMOT(Moment of Truth)「真実の瞬間」と呼ばれてます。MOTとは「顧客と企業との接触の瞬間 = 購入やブランドへのイメージを決定する瞬間」を意味しています。このMOTが指す「瞬間」には、4つの瞬間があるとGoogle社が提示しています。


・第0の瞬間 
 購買の現場に訪れる前に情報に触れて意思決定をする瞬間

・第1の瞬間
 購買の現場で何を購買するか判断する瞬間

・第2の瞬間
 購入後に商品を利用して品質や体験の良し悪しを判断する瞬間

・第3の瞬間
 商品を利用し続けるうちに愛着が生まれる瞬間


では、MOTはどのようにして見つけるのでしょうか。それは、MOTを見つけるという視座から「顧客体験の観察」が基本となります。顧客の認識がどう変化したから価値になったのか、なぜそう変化したのかを、実在する顧客の体験から学ぶことが重要となってきます。「何がどう変わったから購買したのか」が分かれば、「購買してもらうためには何をどう変えるべきか」は逆算出来ます。顧客の体験を観察して、ブランドを価値として成立させるためには「変えるべき現状の体験は何か」といった具体的な条件を見つけていきます。このようにして、顧客体験を最適化することで、商品やサービスの価値を上げていくことが現実化してきます。


無数にあるブランドや価値の中から顧客に選ばれるためには、とことん顧客目線に立ち、「何を欲しているのか」「何に価値を置いているのか」「何を解決したいのか」をきちんと把握し、ご満足いただける商品やサービスを提供することが大切ですね。HIRONORI KAJIKAWA