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働き方改革とは何か?

2020-03-23

働き方改革の背景


今、日本の人口は減少傾向にあり30年後の2050年には国内人口が1億人を下回ると言われています。もし本当にそうなってしまうと「働き手」が減ることで国内の生産力が落ちてしまい、「世界から見た日本の経済力」という観点でも悪い状況を迎えることになると予想されます。そのような状況にならない為には、労働人口が減少したとしても経済力を維持するための「効率的に経済を回す方法」が必要になります。そういった背景から、「労働の効率化を目的とした改善」に動き出したのが働き方改革です。現在、働き方改革は主に3つの観点から見直しがされています。

①労働の効率化
 業務効率を上げて長時間労働を減らす
②労働の多様化
 場所や時間に縛られない労働環境をつくる
③労働の一般化
 高齢者や育児中の方も参加しやすくする



働き方改革の目的


働き方改革を進める上で気をつけたいのは、働き方改革とは「労働時間の短縮だけではない」ということです。働き方改革を推進するために「裁量労働制」「フレックスタイム制度」「短時間勤務制度」「テレワーク」「育児休暇」などが推奨されてきましたが、それらの施策の定着度合いには企業によって大きな開きが見られます。その差は「労働時間短縮と合わせて労働生産性向上に着手しているか」という点にあるようです。労働時間を減らすだけではなく一人一人に課せられた労働量を減らすことができなければその制度は働く人のためにならず、定着させることはできません。「会社が短時間勤務制度を実現するために、ノー残業デーを実施したが業務が終わらず翌日早く出勤して残務を行った」や「会社が男性の育児休暇制度を作ったが、人員不足で仲間に負担が掛かるから言い出せない」などの話しが出るのは、労働量が減っていないのに労働時間を減らそうとしていることが原因です。労働時間を減らすというのは手段に過ぎませんので、従来の業務を見直して業務の無駄を省いたり、掛かる時間を圧縮したりするという目的の達成を意識することが働き方改革の重要なポイントとなります。



労働生産性を向上させるにはどうすれば良い?


まず“生産性”とは「産出された成果物の値をコストで割る」ことで計算でき、数式は「生産性=産出(output)÷投入(input)」となります。そして“労働生産性”はこの「投入(input)」の部分を「労働量」に置き換えることで求められ、数式は「労働生産性=付加価値÷労働量」となります。さらに「労働量」の部分を具体的に定義して分かりやすくすると下記の数式となり、「1時間あたりの労働生産性」が求められます。過去の社内データと比較して目標値を設定すると良いでしょう。

労働生産性=付加価値÷(労働者数×労働時間)

では、この「労働生産性」を向上させるにはどうすれば良いのでしょうか?付加価値を増やすか、労働量(労働者数又は労働時間)を減らすかで値は良くなりますが、働き方改革は労働量を減らすことが課題ですので労働者数又は労働時間を減らすことで労働生産性を向上させることが目標となります。方法として、管理ツールを積極的に導入したりマネジメントに力を入れたりするすることでもその効果が期待できます。

<管理ツール>
営業支援ツール(SFA)やプロジェクト管理ツールなどによって「業務を可視化」して効率化を図ることで労働量を減らす

<テレワーク>
Web会議サービスを会議やミーティング・打合せ・営業・セミナー等に活用して「移動時間削減」などで労働量を減らす

<マネジメント>
管理職がOKRや1on1でマネジメントをして「メンバーの状態を把握・調整」して労働量を減らす



「タニタの働き方革命」という働き方改革


労働量を減らして労働生産性を向上させるというのは経営サイドの考えであり、働き方改革ではもっと大切なことがあるような気がしています。「タニタの働き方革命(日本経済出版社)」という本がありますが、その本では㈱タニタの働き方改革の取組みについて書いてあります。㈱タニタは独自の働き方改革を行っており、見方によっては極端に舵を切りすぎと思うところもありますが、一貫した考え方はとても参考になります。「どうすれば働く人が主体性を持って働けるようになるかを考えて、人事制度の抜本改革、もっと言えば会社と働く人の関係性そのものを根本的に見直す必要がある。それをやってこそ真の働き方改革である」という考えのもと独自の働き方改革に取り組んでいます。一読推奨。



働き方改革とは、時間問題の解決だけでなく生産性向上を達成することが目的でありますが、それ以上に働く人の主体性の問題を考えなければならないのだと思います。㈱タニタのように、会社と働く人の関係性そのものを根本的に見直して、働く人が主体性を持って働ける会社作りに邁進したいと思います。HIRONORI KAJIKAWA






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