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『リスクプレミアム』という判断基準

2023-11-03

リスクプレミアムとは?


先日、ある投資家から「リスクプレミアム」について話しを伺いました。リスクプレミアムとは、できる限り投資のリスクを軽減させようと設けられた投資概念のひとつで、「リスク資産の期待収益率から、同じ期間の無リスク資産の期待収益率を引いた差」のことをいいます。


投資家が、株式という「価格が変動するもの」に投資をするために、「価格が変動しないもの」と比較をしてどのくらい見返りが大きければ投資をする気になるのか、その度合いを表したものになります。


例えば、手元に100万円があったとします。この100万円を「銀行預金」に充てるか「株式投資」に充てるかを悩んでいるとしましょう。どちらに充てるかの結論を出すために、双方の期待収益を算出してリスクプレミアムを割り出してみたいと思います。


まずは、銀行預金の場合。現在の大手銀行の預金金利は0.01%なので、1年後の期待収益は100万円の0.01%で100円になります。一方、株式投資の場合。米国株のS&P500(米国株の指数に連動するファンド)は、これまでの年間成長率がおよそ7%なので期待収益は100万円の7%で7万円となります。


期待収益は差額にして、70,000円-100円=69,900円となり、期待収益率は6.99%になります。つまり、銀行預金とS&P500を比べた場合、S&P500に投資した方が6.99%のリスクプレミアムがあるということになります。


ただし、リスク資産は確実に収益が得られるわけではないので注意が必要です。リスクを望まないということであれば、無リスク資産を選んで0.01%の収益を得る。資産が減るリスクを取ってでも、より大きな収益を得たいということであれば、リスク資産を選んで6.99%の「リスクプレミアム」を獲得する可能性を得る。どちらにしても、リスク資産を選択した場合はどの程度のリスクプレミアムが得られるかを理解する。そして投資に値すると判断した場合にだけ投資をする。これがリスクプレミアムという概念です。



リスクプレミアムの活用


先日、その投資家は「将来のリターンを予想したい場面であれば、リスクプレミアムは基本的に何にでも活用できる」ということを話していました。つまり、様々なシーンの判断基準にリスクプレミアムを活用しているというのです。


例えば、物やサービスの購入を検討する場合の無リスク資産は「購入しない」ということ。つまり、手元キャッシュという資産を選ぶという選択。逆に、リスク資産は「購入する」ということ。つまり、キャッシュを物やサービスという資産に変えるという選択。どちらを選択するか?それは、キャッシュを使うリスクを取るためには「リスクプレミアム」がどの程度あれば良いのかを考えるのだとか。なるほどー、毎回やるの大変だなーと思いながら聞いておりました。


もちろん全ての話しを真剣に聞いていましたが、なかでも、確かにそこに活用するのは良いかもと思ったことがありました。それは「独立の検討」です。企業でキャリアを積んでいけば、独立を検討する人がいて当然です。ただ、独立にはいろいろと悩むことが多いと思いますので、このリスクプレミアムという概念が役立つのではないかと思ったので共有をさせて頂きます。


所属している企業で働き続けるのが「無リスク資産」、独立するのが「リスク資産」として仮定すると、リスクプレミアムがどの程度あれば、独立のリスクを取るべきなのか?これがリスクプレミアムを判断基準にするということになります。


企業で働いている場合、収入はほぼ毎月予測することができます。リスクに関しても全くゼロということはありませんが、基本的に企業側が取っていますのでほぼ無リスクと考えて良いと思います。一方で、独立した場合は全てのリスクを自分が取ることになります。その代わり、リスクプレミアムを獲得する可能性を得ることが出来ます。確実にリスクプレミアムを得られるわけではありませんが、それなりのリスクプレミアムを得ることが出来ます。そのリスクプレミアムはどの程度あれば独立という選択をしても良いのか?これが独立を検討する場合のリスクプレミアムとなります。もちろん、独立はお金だけで判断するものではありません。自由な学び、自由な時間、自由な経営。これらも独立の魅力的な要素となるでしょう。ですので、「収入面」に関することだけをリスクプレミアムで検討すれば良いのではないかと思います。


リスクプレミアムという判断基準。「リスク資産の期待収益率から、同じ期間の無リスク資産の期待収益率を引いた差」のことをいいます。仕事や生活において、幅広く活用できるのではないかと感じたので共有させて頂きました。何かの参考になれば幸いでございます。HIRONORI KAJIKAWA