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キャッシュフローの可視化をしてみた

2021-09-03
コロナ禍に突入して経営の方法を変えたことはいくつもありますが、そのなかでも私が特に意識して取り組んだことが2つあります。1つは前回のブログで書いた「経営理念を活かす」ということ。そしてもう1つは、お金の動きの見える化、つまり「キャッシュフローの可視化」を実現するということ。新型コロナウイルスは、会社の経営を揺るがすほど大きな影響を与える存在になっていることは全社員が認知しています。経営の状態や会社の存続など、先が見えないコロナ禍は大きな「不安」を生んでしまいます。この漠然とある不安は、全力で仕事に取り組むためには取り除くことが望ましい。そしてこの不安を取り除くためには「可視化」しかない、私はそう考えました。


コロナ禍に突入した早い段階で月次のネットキャッシュを管理している「資金繰り表」をクラウドで公開することにしました。これは、手元にあるキャッシュがどれくらいあるのかを共有して可視化することを意味しています。営業活動でどのくらいのキャッシュを生むことができて、それ以外の活動でどれくらいのキャッシュイン、キャッシュアウトがあって、今現在のキャッシュポジションはどのくらいなのか、この先のキャッシュポジションはどうなっていくのか、会社のキャッシュ(現預金)の情報を全て公開することにしました。


会社のキャッシュフローを公開することはいろいろな影響が出ることが考えられます。しかし、それでも公開することの意味が大きいと考えてクラウドで共有することにしました。コロナ禍での不安というのは「知らない」ということから生まれてくる。それであれば、良くも悪くも「知る」ということで不安は取り除けるのではないだろうか。そして「知らない」ことで生まれる不安がなくなれば全力で仕事に取り組むことが出来るだろう、そう考えたら迷うことなく「キャッシュフローの可視化」の実現に取り組むことが出来ました。


月次でキャッシュフローの可視化するために、総勘定元帳と呼ばれる全ての取引を勘定科目ごとに記録している帳簿も公開しています。会社全ての記録なので当然、私の報酬やコーポレートカードの明細もそのまま見れます。何に使ったのか、適正だったのか、議論することが出来ますので、そのおかげで私もそれまで以上に「会社のお金を使う意味」ということを意識するようになりました。また、総勘定元帳には会社のお金の動きが全て記録されているので無駄なコストを発見すれば、誰でもコストカットを提案することが出来るという効果性も生まれました。


キャッシュフローの可視化は、キャッシュ(現預金)がどのくらいあるのかを知ることだけではなく、お金がどうやって入ってきて、何に使われているのか、それを知りたい人がいつでも見えるようにすることに意味があり、その情報を見ることができるから安心することができるとのだと思います。ただこのキャッシュフローの情報は全社員に行き届くことが難しいため、全社員に向けた報告として経営状況や利益実績などを朝礼やミーティングでなるべく多く話すようにしています。当然、真実のみを伝えています。


コロナ禍は会社の経営を揺るがすほど大きな影響を与える存在になっていることは全社員とも知っているだけに透明性を確保し「知らない」ことで生まれる不安を取り除くことを重視していきたい。そして、経営の透明性を確保することで会社を安心・安全に経営することができるのではないか。キャッシュフローの可視化には、そんな意味があるのではないかと思います。HIRONORI KAJIKAWA