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『ダーウィンの進化論』を正しく理解してビジネスに活かす

2024-02-16
『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である』


これは、ダーウィンが「種の起源」の中で記した言葉です。ビジネスにおいても、この言葉が「ダーウィンの進化論」として経営哲学の学びに用いられることが多くあります。しかし、本来のダーウィンの考え方とは違って用いられていることがあるので、本来の意味を正しく理解して、ビジネスでどう活かすかについて考えてみたいと思います。


「変化しなければ生き残れない」あるいは「生き残るためには変化が必要」といったように、ビジネスシーンで用いられる際は、変化に「目的」を持った意味で用いられるケースが多くあります。しかし、根本的なところでダーウィンの進化論とは考え方が異なっています。ダーウィンの進化論は、生物の進化に「目的」はなく、進化は単なる「結果」にすぎないという考え方が原則となっています。


例えば、ダーウィンの進化論を目的論的に捉えると「キリンの首が長くなったのは、祖先が高いところにある葉を食べるために首を伸ばしたから」ということになります。しかし実際には、生物の進化は遺伝子の突然変異によって生まれた個体の形質が、たまたま環境に適合して生き残り、子孫を残すことが出来たからということになります。つまり偶然の「結果」です。


首の短かったキリンの中に、遺伝子の突然変異によって少しだけ首の長いキリンが生まれ、高いところの葉を食べることができるようになり、生存競争に勝った首の長いキリンの子孫が生き残り(自然淘汰)、今のような首の長いキリンになった。たまたま突然変異によって親と違う形質の子が生まれ、その個体が淘汰されずに生き残ることによって進化が起こる。これがダーウィンの進化論になります。


では、ダーウィンの進化論はビジネスでどう活かすべきなのか?について考えてみたいと思います。ビジネスや経営においても環境に合わせて変化することは大切だと言われています。しかし、変化すれば良いということでもないはずです。


自分(自社)の形質を理解し、どうすれば生存できるかを考えて、自分(自社)に合った変化をしていくことが大切である。ダーウィンの進化論をビジネスに活かすとすれば、このような捉え方になるでしょう。突然変異で生まれた首が少し長いキリンは、地面の草を食べるのはとても苦労したはず。もしも、地面の草を食べる方法しか知らなかったら、キリンは淘汰されていたかもしれません。他の動物が食べることができない高い木の葉を食べることを身に付けることが出来たからこそ、生存し続けることが出来たのでしょう。それと同じように、自分(自社)にとって生存する方法はどんなことかを考えて変化していくことで、生存する可能性が高まるはずです。逆に、自分(自社)の形質に合わない戦略を立ててしまったり、事業への投資をしてしまうと変化が失敗に終わり淘汰されてしまうかもしれません。


変化は自分(自社)の形質を理解して行うことに価値がある。ダーウィンの進化論を正しく理解してビジネスに活かすには、自分(自社)の形質を理解することが重要。何かの参考になれば幸いです。HIRONORI KAJIKAWA