梶川弘徳

CFYの社長です。マーケターとして、経営者として、IRONMANを目指す者として活動記録を書こうと思います。ちなみに私、きものにまつわるギネス記録を保有しており「ギネス世界記録2019」に載ってます(笑)。なのでたまに、きものではたらく社長の姿もアップします。宜しくお願いします。

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「購買行動モデルは正しいか」を検証してみた

梶川弘徳
「購買行動モデル」で提唱されている“消費者の購買行動”というものは、果たして本当に現代の消費者に当てはまっているのかを検証してみました。






購買行動モデル


「購買行動モデル」とは、消費者が「商品」や「サービス」を認知してから「購買」や「利用」に至るまでのプロセスを説いた概念を言います。 昨今ではWeb上のコンテンツに加えて、SNSや街中のデジタルサイネージなど、テクノロジーの進歩によって消費者の情報ソースと購買行動は大きく変化してきました。そのため、消費者の一般的な購買行動モデルについて理解し、かつ自社の商品やサービスと照らし合わせて適切なモデルからプロモーション戦略を練る必要があるとされています。





DECAX(デキャックス)


幾多もある購買行動モデルの中から、比較的新しいモデルである“コンテンツマーケティング時代における消費者の購買行動”をモデル化した「DECAX(デキャックス)」に注目し、そのDECAXが本当に現代の消費者に当てはまっているのかを検証してみることにしました。

DECAXとは、Discovery(発見)、Engage(関係)、Check(確認)、Action(購買)、eXperience(体験と経験)の5つのプロセスの頭文字を並べたもので、電通デジタル・ホールディングスが「コンテンツマーケティングに対応した購買行動モデル」として提唱した概念です。DECAXの大きな特徴は、AIDMAやAISASにおいて行動の起点となっていた「Attention(注意)」が「Discovery(発見)」に置き換えられていることです。AIDMAやAISASでは、まず企業が主体となって消費者の関心を惹くための行動を起こし、それがトリガーとなって消費者の購買プロセスが動き始めます。これに対してDECAXでは、消費者自身による「コンテンツの発見」が行動の起点となります。また、発見後のEngage(関係)のフェーズにおいても、消費者が自発的に気に入ったWebサイトを訪れ、「いいね」や「シェア」、メルマガ登録といった小さな行動を積み重ねて関係を深めていきます。

消費者は、何かを「知りたい」「調べたい」と感じた時に、まず検索をして表示された結果の中から最も自分の興味のあるものを「発見」し、その情報の内容(コンテンツ)を確認してより興味を持ちます。そして徐々に「関係を構築」していきながら、そのコンテンツを信じて行動しても良いのか「確認」を重ねて、実際に「行動」するというプロセスで購買や利用へと繋がります。更に、満足感を得た消費者は「自分の体験を共有」という行動に移ります。この一連の購買行動のことをDECAX(デキャックス)と言います。






検証結果



何かを「知りたい」「調べたい」と感じた時に、どのような行動を取ったかをDECAXの行動フェーズを設問としてアンケート調査しました。調査結果は以下の通り。

【フェーズ1】Discovery(発見)
「検索して気になるコンテンツを探してみたことがある」(99%)

【フェーズ2】Engage(関係)
「そのコンテンツをクリックや保存したことがある」(99%)

【フェーズ3】Check(確認)
「更にメルマガ登録など深掘りしたことがある」(82%)

【フェーズ4】Action(購買)
「一連の行動の結果、購買や利用をしたことがある」(79%)

【フェーズ5】eXperience(体験と共有)
「その購買体験に満足して拡散したことがある」(31%)

この調査結果から、消費者自身による「コンテンツの発見」を起点にした一連の行動の結果、購買行動へと繋がった経験のある人は約8割いることが分かります。これは、多くの人がDECAXの購買行動モデルに当てはまっていると思われる一つのデータになるかと思います。ですが、フェーズ5「eXperience(体験と共有)」の該当率は31%と低いため、この部分のみ当てはまる人は多くない、とも読み取れるデータとなりました。

コンテンツマーケティング時代にはメリットとデメリットがあります。メリットは、説得力の高い新しいコミュニケーションチャネルが誕生したこと。デメリットは、コンテンツに対する社会的信頼性が低下したこと、と言われています。ステルスマーケティングなどの影響もあり、我々消費者は当たり前のように、情報の真偽、ソース、裏の意図を読み取ろうとして無意識のうちにフィルタリングをしています。ウイルスのように拡散したコンテンツに対して、我々には免疫がつきワクチンが効きにくくなっているという状況に近いかもしれません。これに対して企業側は、安易にトラフィックを集めることだけを考えたメッセージングに走るのではなく、消費者にとって何が価値のある情報なのかを考え、良質なコンテンツを生み出す努力をし、消費者にとって価値があると判断される良質なコンテンツを作ることが「購買行動」へと繋げるための課題となるでしょう。





フィードバック・ループ


今回の調査結果において該当率が31%と低い数値だった、フェーズ5の「eXperience(体験と共有)」について考えてみたいと思います。該当率が低い要因は、SNSを利用しているかどうか、拡散の習慣があるかどうか、など間接的要因も関係していますので、一概に「購買体験を拡散されていない」と判断はできませんが、該当率は3割程度という低い数値のデータがあがりました。全般的に購買行動モデルとは、消費者の“購買まで”のプロセスの概念のことを言いますが、DECAXでは“購買後”の「eXperience(体験と共有)」がプロセスのひとつとして組み込まれています。その理由は、消費者自らが情報発信者となる現代では、フィードバック・ループを作ることで次の新たなDiscover、つまり潜在ニーズの掘り起こしをすることができて、フェーズ5の「eXperience(体験と共有)」はその重要な役割を果たすからだと言います。コンテンツマーケティングに取り組むのであれば、「eXperience(体験と共有)」を意識したフィードバック・ループの仕組みをつくることが重要課題であると言えます。HIRONORI KAJIKAWA