梶川弘徳

CFY代表取締役CEO/Bequeath代表/ギネス世界記録 Largest kimono collectionを保有/カッコいい日本文化が好き/トライアスロンIronmanの特訓中/経営者として、マーケターとして、Ironmanを目指す者として「きものではたらく社長のBlog」配信中

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n=1 一人の顧客を深く知る

n1分析とは?


統計やマーケティングにおいて、分析結果の有意差を出すために必要な「n数」。分母を増やすのではなく、一人の顧客(n=1)を徹底的に分析することで顧客理解を深めるというマーケティング手法を「n1分析」として提唱されています。マーケティングにおいて分析対象が「一人」というのは少なすぎるのではないか?と感じられますが、これはいわば、「顧客起点の発想をする」というマーケティングの論法のひとつであると捉えると良いと思います。n1分析は、顧客の一人を徹底的に分析することで、より本質的な理解を得るということが目的となります。


「たった一人の顧客を深く知ることからすべてが始まる」


多数を分母とした統計によるユーザー分析は、起こった結果を知ることはできても、「次にどんな手を打てば新しい市場(ユーザー)を開拓できるか」を知ることにはあまり適していません。「顧客起点の発想」を基本理論としたn1分析は、次の一手を知ることに適しているといわれます。


どんな見せ方をしたら自社の商品を買ってもらえるのか?これは「企業起点」の考え方です。
n1分析は、顧客から見たときに自社商品がどう見えるのか?という「顧客起点」の考え方です。


自社商品やサービスだけでなく、競合や類似の商品やサービスも含めて全てを顧客の目線から捉えることで、どう見えているのか?どう感じているのか?を深く理解していき、自分たちでは気付かなかった商品の独自性や選ばれる理由を探していきます。その結果として、自ら自社の商品やサービスを否定する可能性すら視野に入れて、顧客の本質的なニーズを捉え直します。それこそが、新しい市場(ユーザー)を開拓するための有効なマーケティングとなります。





n1分析はどうやってやる?


では、顧客起点のn1分析はどのように実践すればいいのでしょうか。まずは商品やサービスのターゲット顧客を定義します。ターゲット顧客が誰なのか、その顧客は何人いるのかを把握して、市場(ユーザー)を確認します。そして、顧客を属性別にグループ分けし、注力したい属性の中からインタビューをする一人を選びます。属性ごとの「一人の顧客(n=1)」にインタビューをして、顧客の声をもとに「認知の起点」や「購買の動機」などについて分析することで、顧客の本質的なニーズを理解していきます。端的にいえば、実際の顧客から丁寧に話しを聞くこと、これにつきます。


ただし、n1分析の必要性は大きくあるものの、ミクロなn1分析だけでは施策に投資するかなどの意思決定はできません。n1分析の結果をマーケティング施策の根拠とするには、マクロの行動データと接続させる必要があります。その顧客がどのセグメントにいて、同じセグメントにどれくらいの顧客がいるのか。そのセグメントの成長率はどうか。そういったマクロデータとの接続によって、一人の顧客を起点にしながら顧客全体について理解を深めていく。そのようにして、n1分析をマーケティング施策の根拠としていきます。


また、より良いn1分析をしていくためには、目的意識を持ちながらインタビューすること、そしてn1分析をやり続けること、この2つが大切です。インタビューで顧客に何を聞いたら良いのか、決まった正解はありません。ですが、「この方はどんな気持ちで商品やサービスを買っているんだろう」「どんなときにメーカーやブランドを好きになるんだろう」、逆に「商品やサービスに不満はないだろうか」というように、知りたいことを明確に持って相手と向き合い、企業起点ではなく、顧客起点で質問を考えることが重要です。n1分析を続けていけば、顧客の理解も高まり、自ずと質問の精度は上がっていくと思います。


重要なのは、顧客を置いてきぼりにして企業の視点で商品やサービスを捉えるのではなく、常に顧客起点で考えること。トラッキング可能な行動データと、地道なn1分析から得られた顧客心理の両方を組み合わせ、自社にしかないアイデアを見つけ、経営とマーケティングに活かしていく。アフターコロナに向かっていく今、n=1を重視することが重要かもしれません。HIRONORI KAJIKAWA